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感染性腸炎
胃・大腸の病気
感染性腸炎とは
水や食べ物を通し、ウイルスや細菌感染により胃や腸が炎症を起こしている状態です。
感染性胃腸炎で多いのはロタウイルスとノロウイルスの感染です。
激しい腹痛と吐き気や嘔吐を伴い、発熱もみられますが、治療薬はなくウイルスが体外に排出されるのを待つしかありません。
感染性腸炎はコレラ菌、腸管毒素原性大腸菌、ウェルシュ菌、腸炎ビブリオ等が代表的です。
下痢が続くため、高齢者や乳幼児は特に脱水症状に注意しなければなりません。
人やペットから接触感染することもあります。
原因
1.ロタウイルス
下痢便や下痢便に汚染された器物を介して、手指から口へと感染します。 2〜3月にかけて流行し、乳幼児や子どもに感染が多くみられるウイルスで、急性胃腸炎を引き起こします。
他の感染性胃腸炎にくらべ、下痢や嘔吐の症状がはげしいことが多く、入院が必要となる場合があります。そのため乳幼児期にはロタウイルスの予防接種があります。
大人でも感染はしますが、軽症ですんだり発症しなかったりする場合が多いようです。治っても再び感染することもありますが、二度目はほとんどが軽症です。
2.ノロウイルス
カキなどの貝類や、水、ノロウイルスに汚染された食品から感染します。
主に冬に流行し、乳幼児から高齢者までの幅広い年齢層に流行します。
ノロウイルスは感染力が非常に強く、少量のウイルスでも感染し、発症します。一度かかっても何度も感染することがあります。
3.アデノウイルス
プールの水や、くしゃみ・咳などから飛沫感染します。
アデノウイルスにより胃腸炎を発症すると、1〜2週間以上も下痢が続き、ウイルスの排出期間に時間がかかります。
そのため、感染者に接触した後の手洗いが大切です。 アデノウイルスはアルコールや石けんが効きにくく、次亜塩素ナトリウムによる消毒が有効と言われています。
4.コレラ菌
コレラ菌に感染した患者の便や嘔吐物に排出され、また排泄物で汚染された水や食品を介して口から体内に入り感染します。
下痢が主な症状で、軽症の場合には軟便の程度で下痢も数回で治まります。
5.腸管毒素原性大腸菌
海外旅行者の下痢の原因となる事の多い病原大腸菌です。
特に、東南アジアやアフリカ諸国等の上下水道が十分に整備されていない国で、水道水や生の野菜・果物等から感染します。
腹痛や嘔吐、下痢を伴い、脱水症状に陥ることもあります。
6.ウェルシュ菌
多くは肉類、魚介類、野菜を使用したカレーやシチュー、スープなどをそのまま室温で放置した食品にみられます。
感染してからほとんど12時間以内に腹痛や下痢などの症状が現われます。
加熱調理された食肉の残りは、鍋の中にそのままにせず、速やかに冷蔵し、十分に再加熱してから食しましょう。
7.腸炎ビブリオ
魚介類の刺身、すし類が原因食品となります。1990年代をピークに感染者は減少していますが、現在も夏の暑い時期を中心に流行がみられます。
感染すると、激しい腹痛と水様性や粘液性の下痢がみられ、まれに血便がみられることもあります。
症状
- 激しい腹痛
- 水っぽい下痢
- 軟便
- のどの痛み
- 吐き気
- 嘔吐
- 発熱
検査
体内に何のウイルスや細菌が侵入したのかを調べるために、便培養検査を行います。
治療
感染性腸炎は、一般的には自然治癒の傾向が強く、体内から菌が排出されるのを待ちます。
対症療法(症状を和らげる)が基本で、抗菌薬等はあまり用いません。
下痢に伴う脱水には点滴を行います。